私たちの会社は結婚式の仕事がメインですが、現在、3店舗の直営レストランを営業しています。
レストランでは結婚式とは関係なく、ごく普通にお食事を楽しんでいただいているのですが、
時折、お食事に来られたカップルから「ここで結婚式ができるんですか?」とお問合わせをいただくことがあります。
これは私たちにとって、とても嬉しいことです。
レストランの味、サービス、空間を気に入ってくださったという証ですから。
そんなある日のこと、常連の紳士から一本の電話が・・・
その紳士が初めていらっしゃったのは3年ほど前でした。
ご本人の還暦祝いと、お母様の米寿のお祝いを兼ねてお食事に来られたため、
パティシエが急きょ、お二人の似顔絵付きデザートを作ってサプライズプレゼントをしました。
お二人はもちろん、ご家族のみなさまも大変喜んでくださり、一気にレストランのファンになってくださいました。
その日以来、ご家族の誕生日のお祝いに、ご接待や社内会食にと、頻繁にレストランをご利用いただいていたのです。
ある日の紳士からのお電話は、
「うちの息子が結婚したい相手がいる。相手もよく知っているお嬢さんで、
私たちはいつか、いつかと待っているんだが、なかなかプロポーズをしない。協力してくれないか?」
という内容・・・燃えました!!
早速、ご子息に連絡を取りました。すると「すべてお任せします」とのこと。
またしても、燃えます!!!
スタッフ全員でアイデアを絞り、とうとうプロポーズ当日を迎えました。
ご用意した個室には、お相手の女性の大好きなバラを飾って。
食前酒のシャンパンカクテルには、その女性がお好きだというイチゴを使って。
さらに、これまたお好きだというオマール海老は、生きたものをご用意して目の前でプレゼンテーション。彼女の好きなもの尽くしです。
そして最後に、スペシャルデザート。
大きなお皿に、彩り豊かなプチデザートの数々。センターにはひときわ目立つ小箱があって、その中にはエンゲージリングが!
「結婚してほしい」
ストレートだけど愛情あふれる言葉に、お相手の女性は照れ笑いしながらも、その目から大粒の涙がこぼれたのでした。
プロポーズの日、後でご子息が私たちにお声がけしてくださいました。
「ありがとうございました。口下手な僕なりに、最高のプロポーズができました」と。
なんて嬉しいお言葉!まるで自分のことのように感動したのを今でも覚えています。
ところが次の日、ご子息のお父様から電話が・・・。
「ありがとう。息子がやっと、結婚する気になってくれたよ。いやあ、本当に嬉しい!
あ、そうそう。結婚式もよろしく頼むな!」
軽〜い感じで、ビッグなオーダーをいただいたのです!
そしてまた、結婚式のオーダー以上に、本当に大切なものを託してくださったのだと感じ、途方もない喜びが込み上げてきました。
このようなケースは稀ではありますが、常に私たちは、人生の記念日を大切にしたいという情熱をコンセプトにレストランで働いています。
そんな気持ちが自然とお客様に伝わって、良い信頼関係を築くことができたのだと思っています。
人生の記念日、それはどの人にとっても生涯に一度の大切な日。
プロポーズ、初めてのデート、大学に合格した日、初めて親元を離れる日、車を買った日、金婚式、大病から回復した日、
赤ちゃんが初めて「ママ」って言ってくれた日・・・どの記念日も、私たちは大切に思い、全身全霊でサポートしたいと思っています。
そして、その最たる日が「結婚式」なのではないでしょうか。