フランス料理が日本に根付いたのは意外に遅く、
1970年の大阪万博がきっかけだったそうです。
今でこそ街のビストロで誰もが気軽に楽しめるようになりましたが、
正統派フレンチを食べたことのある方は、
実はそう多くはないのではないでしょうか。
では、正統派フレンチとは?
それは、目に見える料理の3倍の工程があるといわれています。
素材を刻んで、コトコトと煮詰めて、塩とワインを足して、元の形に戻す。
ただひたすら、素材の味を追求するためにーー。
日本料理や中国料理のように、調味料で味を整える料理ではないため、
一度に何十名もの料理をお出しする披露宴では残念ながら、
真の正統派フレンチを作るのは難しいとされています。
ところが、私たちのシェフたちはそれをやってしまいます。
お肉やお魚の1滴のソースのために、
お皿の底が透けて見えるほど透明度の高いコンソメスープのために、
ただひたすら野菜を刻んで、煮詰めるのです。
気が遠くなるほど手間も時間もかかるのに、なぜそこまでやるんですか?
とシェフに聞いたところ、
「フレンチの伝道師でありたいからです」との答えが。
「フレンチのフルコースをはじめて食べるのが披露宴」
というお客様も少なくないなか、
もしもそれが素材から作られていないレトルト料理だったら、
「ああ、フレンチってこんなものか」と思われてしまう。
だからこそ素材に向き合い、一切の妥協をしない。
すべてはお客様にフレンチのファンになっていただくために
ーーそう、答えはいたってシンプルなのでした。
ところで、私たちの運営する会場は、
必ずフレンチレストランを併設しています。
実は、ここにもシェフの哲学が息づいています。
ほかのウエディング会場ではなく、
街の上質なフレンチレストランと日頃から闘うことによって、
キッチンスタッフ、サービススタッフの士気が上がり、
クオリティに磨きがかかり、結果的に、婚礼料理にいい影響を
及ぼしているのです。
つまりこのフレンチレストランは、
お二人が結婚記念日に戻ってきていただける思い出の場所であり、
スタッフたちの宝ものであり、そしてここから、
未来の新郎新婦さまのために婚礼料理が生まれていく。
いわば、幸せが連鎖するフレンチレストラン出身の正統派フレンチが、
お二人の披露宴のおもてなしとなるのです。
スイスのグランメゾンで活躍し、帰国後神戸元町で開業。『ミシュラン』と並ぶ世界的レストランガイド、『ザガットサーベイ』の神戸エリア料理部門で4年連続1位を獲得。 2012年1月より、バリューマネジメント株式会社グランシェフに就任。
料理人にとって顧客満足100%は当たり前のことです。
では、私たちの顧客である新郎新婦さまの顧客、つまりゲストの期待をいかに満たすか?
その重要なファクターが婚礼料理ですから、やるべき仕事はただひとつ、一切妥協しないことです。
ひたすらニンジンを同じ形に切る、ひたすら野菜を煮詰めてソースを作るーー機械ができることでも、
頑固に「人の手」にこだわります。それがフレンチの伝統であることはもちろんですが、結婚式だからこそ、
家では食べられない料理を提供したいから。その美味しさにゲストが感動して初めて、
新郎新婦さまの顧客を満足させることができるのです。